竹薮に入ると若く瑞々しい竹、太くて元気な竹。
曲がった竹、折れた竹等、色んな竹があります。
枯れて折れて朽ちて土に還る竹もあります。
そんな枯れた竹でも極稀に竹笛に出来る材があります。
虫食いやカビ、風雨と日差し、気温や湿度の過酷な環境で傷みやすい状況でも、極稀に幸運に恵まれると、『乾燥がしっかり出来た良質材』。見た目はボロボロに見えても、過酷な環境を乗り越えた逸材に出会えます。
先日、少し時間があったので道路脇に生えている竹を見ていました。
道路脇なので、刈り取られて脇に積まれた竹がいっぱいありました。
殆ど朽ちはじめている竹ですが、良くみていると竹笛のサイズに適合した竹がありました。
表面から見ると、カビてるし傷もあります。
(パッと見た目は汚ならしい…)
持ってみると『スカスカのグズグズ』には、なって無さそうです。
これは『手応え』で感じとります。
体に備わりし、優れたセンサーを使いこなします !
マッサージの施術も同様に、手や指に伝わる様々な感覚を駆使しつつ、自らの体の声をくみ取ります。
(この竹は使えそうだな…)
そう感じたのでお家に連れて帰ってきました。
早速内側が傷んでいないかを確認します。汚れを洗い落としてから竹笛にする為の長さに切り取ってみました。 すると。。
内側はとても綺麗な状態で、水分も抜けていて、長期間乾燥させなくても『即製作に使える状態』でした。 それでも湿気を抜く為にしばらくはお部屋で乾燥させます。
この竹にはしばらくお部屋でくつろいでもらって…
落ち着いてきたところで竹笛を作ってみました。
そしたら…
低めなkeyの音で素敵な竹笛が出来上がりました。
なんともいえない、良い味の見た目と音色です。
生まれたての竹笛だけど、骨董の様な味わいがあります。 カビによってついた風合いがビンテージ感を醸しています。
部分的には つぶつぶのゴマがついたような『ゴマ竹』と言われる何とも風情のある表情です。
枝振りも凄く素敵なので、切り取らずに残します。
道路脇に刈り取られ邪魔にならないように奥へ片付けられ、後は朽ちてゆく竹ですが、そんな中にお宝がありました。(*^^*)/
こうして竹笛にしてみると、枯れても竹は生きている様に思います。
人間の手では再現出来ない風合いのデザインと音色。。
キズもあった方がカッコ良い♪(人もいっしょかも)
アコースティックな楽器の竹笛には世界に1つしかない『唯一無二の世界』があります。 その竹を通じて自然と対話するように製作していると心が調います。
竹笛つくりは全てが上手くいくものではないです。
腕前の力量によるところもありますが、鳴らない竹はどうやっても鳴らないし、物凄くスムーズに涌き出る泉の如く鳴る竹もあります。
これはやってみないと分からないです。
野球選手のようですが『私は打率3割』です。
半分以上は失敗しています。
しかし『失敗は成功の元』とは本当に真を捉えた言葉と思います。
失敗が次の礎となります。
竹笛作りで失敗と成功を何度も何度も何年も繰り返しています。
繰り返しながら、着実に成長している自分自身を感じています。
自分の成長に繋げているから『やっていてイヤにならない』のだと思っています。
毎回何かしらの学びを得ています。
朽ちてゆく汚れた竹との出会いは、『素敵な竹笛の誕生』をもって終えました。
この竹笛は朽ちること無く、いつまでも美しい歌声で自然の声を奏でてゆくと思います♪ ♪ ♪
(*^^*)/♪